“株式会社スリーエス”の事例
生活の変化による長期勤務者の流出を抑止
会社概要
- 本社所在地
- 〒115-0051 東京都北区浮間2丁目6番7号
- 従業員数
- 58名
- 事業内容
- 自動制御機器の製造及び販売・自動制御機器の輸出入代理販売・自動制御装置の代理販売・前各号に関する一切の事業
経営課題 生活の変化による長期勤務者の流出を抑止
キャリアの長い社員の継続的勤務を実現、多様な働き方の実践で社会貢献も目指す
ストレスの少ない環境で働く、多様な働き方の実現・継続に向けて
当社は2017年に創業31年を迎えます、産業用精密機器「バルブポジショナ」の国内唯一の専門メーカーです。ポジショナはバルブの動きをコントロールすることで、液体や気体などの流体を制御する機器で、発電所・石油プラント・製鉄工場・製紙工場等の産業プラントで使用されます。当社はポジショナとその周辺機器を製造販売し、多くの国内主要バルブメーカーとOEM契約を結び、国内海外の多くのユーザーに製品を供給しています。
働く意欲のある女性社員が結婚や出産などにより退職を余儀なくされるのは、会社にも社会にも損失だと考え、以前より社員が働きやすい環境整備に取り組んできました。実際に結婚に伴い転居をする女性社員が出たこと、これから親の介護をする社員が出てくるであろう等から、今回テレワーク導入に踏み切りました。通勤で気力体力を消耗することなく、落ち着いた場所でリラックスした服装で仕事をすることは、社員のストレス軽減につながり、かえって仕事の効率を高めることも実感しています。国は働き方改革を掲げていますが、中小企業、特に製造業にはなかなか浸透していないのが現状です。当社のような中小企業が率先して多様な働き方を実践・継続し、「工夫と挑戦次第で中小企業でも多様な働き方を実現できる」ことを体現していくことが、社会貢献にもつながると当社は考えています。
モバイルワークを必要とする営業職、テレワークにも有用な環境を構築
当社では2017年7月より購買業務、人事・総務の業務の一部を担当している2名がテレワークを始めました。以前から社会保険労務士に定期的にコンサルを受けており、テレワーク導入に当たり就業規則を整えました。システムによる勤怠管理を全社的に導入、パソコンで出勤・退勤を打刻します。社外で勤務を行っていますが、勤務時間は他の社員と同様に9時から17時30分です。自宅に限定せず、ネット環境のある場所ならどこでも仕事ができる就業形態としました。もともと国内各地や海外の出張先で仕事をする営業部のニーズもあり、導入を検討していたVPN※1を2017年6月末に導入、ウィルスや不正アクセス等を考慮してUTM※2も設置しました。ID認証されたパソコンでどこからでも会社のサーバーに、安心・安全にアクセスできるネットワークを構築しました。テレワーク社員は会社支給のパソコンで自宅などから、本社サーバーの受発注システムや文書管理システムに入って作業をしたり、必要な資料を閲覧・共有したり、会社にいるのと同様にストレスなく仕事を行うことができます。またWeb会議やWeb朝礼、クラウドの共有ツール、有料チャットも導入済みで、こちらもコミュニケーションツールとしてテレワーク運用に活用しています。さらに携帯電話も支給、外部から来た電話を転送します。
将来も勤務を継続できる環境で、貴重な人材確保を実現
2名がテレワークを始めてから約3ヵ月がたちますが、出勤するのと同様の環境で、スムーズに業務を進めることができています。遠方から通っていた社員は通勤ストレスから解放されました。今後、別の社員にライフステージの変化があっても、安心して勤務できるように整えています。会社としては、貴重な人材の退職を抑止できたのが一番の効果と考えています。さらに副次的な効果として通勤コストの削減、テレワーク導入に当たり、改めて業務内容の見直しを行った結果、業務改善にもつながりました。
製造業なので生産ラインへの導入は難しい部分もありますが、現在テスト的に役員をはじめ、9名がテレワーク業務を体験しています。将来的にはテレワーク勤務の社員を増やしていく計画です。
解決ポイント
- 経営課題
- 生活の変化による社員の退職を防ぐ
- 多様な働き方を実践することで社会貢献を目指す
- 導入概要
- 就業規則を整備、パソコンでの出退勤管理を全社的に導入
- テレワークでも効率が変わらない業務内容を精査
- 情報漏洩・作業効率を考慮した安全・安心なネットワーク環境を導入
- 導入効果
- キャリアと能力のある人材の退職を防ぎ、継続して勤務
- 交通費の削減
- 副次的効果としての業務改善
テレワーク体制図
導入の様子
テレワーク導入企業からのアドバイス
経営層の理解
経営トップがテレワークを理解し、他の社員にも理解を求めることも大切です。業務上、不可能な部署もありますが公平・不公平にこだわりすぎず、可能な部署・職務のテレワーク化を推進すべきです。
業務の精査で可能性が拡大
製造業で導入は難しいといわれるテレワークですが、当初は不可能と考えていた業務も具体的に導入を検討し、90%以上の業務が、テレワークで運用可能だと分かりました。具体的にイメージすることで課題が見え、解決することが多々あり、業務の見直しにも効果的でした。