“株式会社アトリウム”の事例
「生産性」と「社員幸福度(働きやすさ)」の向上
会社概要
- 本社所在地
- 〒100-0011 東京都千代田区内幸町 1-5-2
- 従業員数
- 184名
- 事業内容
- 収益不動産の開発・運用、住宅向け不動産の開発・販売、オペレーショナルアセットの運用
経営課題 「生産性」と「社員幸福度(働きやすさ)」の向上
業務効率のアップと業務の質を高める効果を実感 ペーパーレス化とマネジメントが課題
子どもを持つ社員の増加を受け、働き方改革を進める方針を決定
当社は、既存の不動産物件の資産価値を高めて販売する「不動産の再生事業」からスタートしました。不動産の種類を問わず、戸建からマンション、商業施設、ホテル等幅広い不動産を取り扱っている点が当社の特徴です。社内では近年、産前・産後休暇や育児休業を取得後、家庭と両立しながら勤務する社員が増加しました。介護休職についても、必要になる社員が出てきています。また、60歳以上の社員も複数名おり、社員のステージに合わせた柔軟な働き方について検討する必要性があると感じました。新しく人材を雇用するには労力とコストが掛かりますし、このままでは企業としての競争力、生産性が低下してしまう可能性もあります。そうした状況を鑑みて、働き方改革を進め、社員の幸福度を向上させていきたいと考え、2017年にテレワーク導入のモデル実証事業に参画いたしました。
トライアル期間は2ヵ月間 テレワークのすべての形態を実施
当社は2017年11月上旬から12月末までの約2ヵ月間、計10名の社員を選定し、テレワークのトライアルを実施。テレワークの形態は、在宅勤務・モバイル勤務・サテライトオフィス勤務としました。テレワークのトライアル実施者はすべてを利用できるわけではなく、職種や目的によって利用できる形態を事前に決めました。営業であれば、モバイル勤務またはサテライトオフィス勤務のみを許可し、会社からノートパソコンかタブレット端末のいずれかを貸与しました。家庭と仕事を両立している社員や事務職社員は在宅勤務とし、個人のパソコンへリモートアクセスして業務を行います。在宅勤務の場合は、育児をしながらの業務は禁止とし、業務開始と終了報告、実施した業務内容をメールで上司に報告するというルールを設けました。
社内のVPN※1にリモートアクセスし、セキュリティを確保
セキュリティは、リモートアクセスで社内のVPN※1に接続して作業することで確保しました。インターネット環境は、自宅かサテライトオフィスのWi-Fi利用を推奨し、限定的ではありますが、会社支給のスマートフォンによるテザリングも許可しました。他に無料で使えるクラウド管理システム※2のチャットを導入しましたが、実際に利用していたのは、メールと電話が主でした。
テレワークにより業務が効率化 不動産業界ならではの副産物も
ホテル事業部の片倉は、ホテル運営の委託管理・新規ホテル開業に向けた計画立案を主とした業務を行っています。在宅勤務では、通常の業務内容を変えずにトライアルを行いました。通勤時間がなくなることによって、その時間を普段できない育児や家事に充てることができたと、非常に好評でした。
新規事業部の社員は、不動産会社が経営する美容室等、新しいビジネスを開発する業務に従事しています。普段タブレット端末を使用しているため、モバイル勤務の活用により、お客様との打ち合わせ後、直ぐに資料をまとめる等、業務の効率化が図れました。また、これまで社内に戻り、出力して確認していた資料も出先で確認でき、外出中でもお客様からの要望に即座に対応できるようになりました。建築企画に係る部門の担当者は、テレワークにより働く場所を自由に設定できたことをメリットに挙げています。現場近くのカフェで仕事をしながら、街の様子を観察することで、これから設計する建物のイメージをより膨らませることができたからです。サテライトオフィスは、じっくりと資料を作り込みたい時に利用する等、業務内容に応じて活用を分けています。テレワークの利用により、顧客満足度も向上するのではないかと手応えを感じています。
新規事業部の佐々木は部下がテレワークを実施しました。上司としては、普段近くにいるため口頭で確認していたことが「電話確認」に変わった程度で、業務に大きな支障はありませんでした。ただ、決裁書類の捺印は社内でしかできないため、すべての業務をテレワークに切り替えることの難しさも感じました。また、テレワークは、社員が行った業務の結果が見えても、過程を把握しにくいことが本導入に向けての課題だと考えています。
モデル実証を終えて テレワークの利便性は実感 ハード面から改革し、導入を目指す
トライアルを通じて、テレワークの魅力は大いに実感することができました。外出の多い営業は、生産性も向上すると感じています。ただ、本導入にはハードルがあることにも気付きました。紙文化の業務体制をペーパーレス化し、電子決裁できる体制・文化作りをしていかないと、テレワークによって業務が滞ってしまう可能性があるため、IT環境の充実を図りたいと考えています。
課題はありますが、働き方改革は今後も継続していきます。社内のパソコンもデスクトップ型からノート型に移行し、モバイル勤務が実施しやすい環境作りを進める予定です。まずはハード面から改革を進め、テレワーク導入を含めた、働き方改革を推進していきたいと考えています。
解決ポイント
- 経営課題
- 「生産性」と「社員幸福度(働きやすさ)」の向上
- 導入概要
- モバイル勤務者にはノートパソコンを貸与、在宅勤務者は個人パソコンでリモートアクセスと使い分けたルールを設定
- セキュリティ面はリモートアクセスを利用し、社内のVPN※1環境に接続することで確保
- 在宅勤務の社員はメールにて、上司に業務開始と終了報告をすることで勤怠管理を実施
- 導入効果
- 通勤時間がなくなったことで生産性が向上した上、家事の時間も確保
- 外出先でも資料の確認ができるため、業務スピードが向上
テレワーク体制図
導入の様子
モデル実証企業からのアドバイス
紙の書類の多い企業は、ペーパーレス化も事前に検討を
当社は決済のための書類に捺印をすることが多く、その点がテレワーク本導入における課題になっています。ペーパーレス化を事前に進めておくと、より円滑にテレワークを導入しやすいのではないでしょうか。
会社が一体となって導入を進めることが重要
テレワークの体験がない社員にとっては、その働き方自体が未知なため、最初は理解を深めることが重要です。可能であれば、経営側が進んでWeb会議を実施する等、会社が一体となって導入を推し進めることで、円滑な導入が実現できると考えます。