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“株式会社ウテナ”の事例

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将来的な状況を見据え、テレワーク導入を検証

会社概要

(左より)SCM部 部長 金井 祐一郎 様・総務部 部長 大石 麻衣子 様・SCM部 購買課 課長 福山 はづき 様・総務部 人事課 齋藤 卓也 様
本社所在地
〒157-8567 東京都世田谷区南烏山1-10-22
従業員数
140名
事業内容
化粧品・医薬部外品製造販売・不動産賃貸業
株式会社ウテナの商品・サービスイメージ
在宅勤務 サテライトオフィス勤務 生産性向上 BCP対策 育児 介護

経営課題 将来的な状況を見据え、テレワーク導入を検証

社員を大切にする企業として誰もが利用できる制度を確立したい

育児、介護をする社員の増加や交通渋滞等、将来的な要因を見据え

当社は1927年創業の化粧品メーカーです。社名のウテナは花の萼(がく)という意味で、90年以上の歴史の中でスキンケア、ヘアケア、ボディケア、メンズ商品等、多彩な商品を手掛けてきました。「すべての人の美しさを支えたい」という思いが商品に込められています。当社は、ヒューマンケア商品を扱う会社として、美しさはプライベートや仕事といった普段の生活の中で育まれるものであり、生きがいを持って働くことは、美しさに通ずると考えています。そのため、社員の働き方を良くしていくことにも尽力しており、東京都の「TOKYO働き方改革宣言企業」にもなっています。現状、育児中の社員が数多くおり、今後は介護を行う社員も増加すると見込んでおります。また、東京2020大会等による交通混雑で通勤困難な状況になることも考えられます。そういった将来的な要因に目を向けると、テレワークが不可欠な状況になると考え、モデル実証事業に参加しました。

制度化を見据え、多様な部署から人選 チャットツールを生かした検証も

モデル実証事業では、制度化できるか否かをしっかり検証するため、営業部、マーケティング部、SCM部、総務部、品質管理部と多様な部署から育児による時間の制約がある社員を中心に計6名を選定し、2名は在宅勤務、4名は在宅勤務とサテライトオフィス勤務の併用で週1回を目標に実施しました。ツールは、既に導入しているクラウドサービスのスケジュールやチャットツール、VPNでサーバーに入る形の共有フォルダを使用しました。もともと導入していたチャットツールは、利用頻度の低い部署もありましたが、トライアルに合わせて再度周知を行い、利用の徹底を図りました。それにより、今まで利用していなかった部署でも、使用しない日がないほどコミュニケーションに活用されました。例えば、仕入れ計上の検品・処理という立ち会いが必要な業務を担当する社員が在宅勤務を行っていても、会社にいる社員からチャットツールを活用した状況報告を受けることで、状況把握と対応指示が即時でできるといった密なコミュニケーションも実現しています。

さらに、人事担当者とテレワーク実施者でチャットツールによる業務内容や感想を随時報告することで、テレワーク実施における問題点を即時に解決し、実施者全員が同時に共有できるようにしました。

在宅勤務のメリットは子供との交流と作業効率の向上

当社の勤務時間は9時~17時30分ですが、在宅勤務者は勤務時間を1時間前倒しすることができるようにしました。それにより、「定時より1時間早く仕事を終えることができ、子供と過ごす時間が増えた」という声が多く挙がりました。その他にも、在宅勤務中は外線電話の取次対応等がなく、集中して業務に取り組むことができるため、作業効率が向上することを実証できました。

サテライトオフィスの利用で業務効率の向上を検証

サテライトオフィス勤務は、終日利用、隙間時間での短時間利用、会議利用という利用方法で運用しました。都内で商談した営業担当の社員の場合、会社に戻るより、商談先に近いサテライトオフィスで作業することで時間の有効活用ができました。管理職の社員は、サテライトオフィスにおいて、会社にいる社員とWeb会議を実施する等、利用の幅を広げながら検証することにより、今後のテレワーク導入への知見を得ることができました。

誰もが利用できるテレワークへ 課題は書類の電子化や資料の共有

当初は育児・介護中といった時間の制約がある社員を対象に制度化を考えていましたが、検証後は有用性を考慮して、対象者を限定した制度にはせず、誰もが利用できる形で制度化したいという考え方にシフトしました。

一方、課題として分かったことは、書類の電子化の必要性です。特に精算、経理関連の書類はまだ紙で行うことが多いため、電子化ができればより多くの業務がテレワークで実施できるようになります。

モデル実証を終えて 2019年度中の導入を目指して管理職を対象に再度トライアルを実施

今後は現場社員だけでなく、マネジメントを担う管理職がテレワークを行うと、会社全体にどのような影響があるか検証するため、再トライアルを実施していきます。モデル実証事業では管理職は2名のみの参加でしたが、複数の管理職が同日にテレワークを行った時の影響を検証するとともに、管理職がテレワークの効果を実感することで会社全体にテレワークを浸透させていきたいと考えています。この再トライアルを経て、2019年度中の本格導入を目指していきます。

解決ポイント

経営課題
将来的な介護需要や交通混雑による弊害の発生を見据え、テレワーク導入を検証
テレワーク導入に当たり、トライアルによる課題の発見
導入概要
計6名を選定し、2名は週1回の在宅勤務、4名は在宅勤務と併用してサテライトオフィス勤務を検証
チャットツールの利用喚起を全社的に行うことで、利用頻度の低かった部署でも円滑なコミュニケーションを促進
商談先に近いサテライトオフィスでの資料作成等、隙間時間の有効活用を検証
VPNでサーバーにアクセスすることで安全なデータの取扱いを実施
導入効果
在宅勤務者は、始業時間を1時間早めたことで、子供との交流が増えた
集中して業務ができることによる作業効率の向上
サテライトオフィス活用による時間の有効活用

テレワーク体制図

導入の様子

在宅勤務を行う 山田 佳代 様

コンサルタントからのアドバイス

モデル実証事業では、チャットツールの活用によるコミュニケーション時のレスポンスの早さやサテライトオフィス勤務による時間効率の向上といったテレワークの有用性を実感できました。また、今後、管理職によるテレワークの再トライアルを実施することはとても有効です。社内でテレワークを推進するには、実際に管理職がテレワークの効果を実感し、理解を深めることがポイントになります。社内にいなくてもツールやデバイスといった環境が整っていれば、マネジメントができることを体験し、報告会を実施することで全社的な理解も深まっていきます。

※クラウドサービス
クラウドで提供される業務管理サービスやチャットサービスなどの総称。
※VPN
仮想的な専用線(Virtual Private Network)の略。共有ネットワーク上にプライベートネットワークを構築すること、またはその技術。
※MDM
モバイル端末管理(Mobile Device Management)の略。企業等の情報セキュリティポリシーに基づき、スマートフォンやタブレット等の携帯端末を一元的に管理する仕組み。